アルボムッレ・スマナサーラ著『慈悲の瞑想〔フルバージョン〕-人生を開花させる慈しみ-』の中から
日常生活で手軽に唱えられる慈悲の瞑想のフレーズ
を5つご紹介します。
Contents
慈悲の瞑想のフレーズを日常生活で唱える
慈悲の瞑想は、日常生活で困難や苦しみに直面したときに、短い時間で手軽に実践できる点において優れています。
そこでこの記事では、アルボムッレ・スマナサーラ著「慈悲の瞑想〔フルバージョン〕-人生を開花させる慈しみ-」の中から、日常生活の中で唱えたい5つのフレーズをご紹介します。
①他者に対して、優しいこころで対応することができますように
②私のこころに、他を差別する気持ちが現れませんように
③私に、一切の現象に対する愛着がなくなりますように
④私のこころは大地のように
⑤私は私より豊かな人を見るたびに、過去に善行為をした人であると思い、喜びを感じます
上記5つのフレーズは、困難や苦しみに直面したときに唱えることで、こころの平安を保ってくれるはずです。
①他者に対して、優しいこころで対応することができますように
他者に対して、優しいこころで対応することができますように
このフレーズは
・家族や恋人、友達と関わるとき
・仕事でお客様や従業員と関わるとき
・街中やお店で近所の人と関わるとき
などなど、人と関わるとき常に唱えたいフレーズです。
どんな生命も優しいこころが大好きです。皆さんも、人の優しさに触れたときに、ぽかぽかとした温かな感情を感じたことがあるのではないでしょうか?
他者に対して優しいこころで対応できれば、相手にそうした温かな感情を広げることができます。
そして一個の生命は、他の全ての生命と相互に依存して成り立っているので、皆さんが広げた優しさは、世界中にじわじわと広がっていきます。
優しさが広がれば、世界は争いのない、より平和な世界に変わっていくでしょう。
親しい生命にも嫌いな生命にも、優しいこころで対応できるように心がけてみてください。
②私のこころに、他を差別する気持ちが現れませんように
私のこころに、他を差別する気持ちが現れませんように
このフレーズは
・生命を外見で判断してしまったとき
・この人は自分より「優れている」「劣っている」と感じたとき
などなど、自分のこころに他の生命を差別する気持ちが現れたときに唱えたいフレーズです。
男女や年齢、肌の色、姿形、能力といった、こころ以外の部分を見てしまうと、すべての生命に優しいこころで対応でなくなってしまいます。
たとえば
なんて考えてしまっては、相手に優しいこころで対応しようとは思えませんね。
それだけでなく、他の生命への差別は自分自身をも苦しめます。
外見に価値を置いているから、美しい外見が欲しくて、あるいは美しい外見を手放したくなくて苦しむ。
若さに価値を置いているから、歳を取るのが怖くて苦しむ。
お金に価値を置いているから、手に入らないお金を求めて苦しむ…
自分の価値観に合わない生命を排除してしまうので、いつの間にか周りに人がいなくなり、孤独にもなります。
こうならないためにも、他者の外見や能力ではなく、こころを見ましょう。
すべての生命は、「幸せに生きたい」と願う同じこころを持っています。
こころを見れば、どんな生命にも優しく対応できますし、何かに執着して自分自身を苦しめることもありません。
他者を排除することもなくなり、いつの間にか周りにたくさんの人が集まっているでしょう。
③私に、一切の現象に対する愛着がなくなりますように
私に、一切の現象に対する愛着がなくなりますように
このフレーズは
・家族や恋人、友人とお別れしたくないと思ったとき
・もっともっとお金が欲しいと思ったとき
・健康な体が欲しいと思ったとき
などなど、持っているものを失いたくないと感じたときや、持っていないものを手に入れたいと感じたときに唱えたいフレーズです。
人生が苦しくなるのは、何かに執着してしまうからです。
別れは必ず訪れるのに、相手に依存して「別れたくない」と思ってしまうから苦しくなる。
お金に対する欲には限りがないのに、「もっともっと」と求めてしまうから苦しくなる。
健康な体は手に入らないかもしれないのに、「健康な体さえあれば…」と妄想してしまうから苦しくなる…
他者もお金も健康な体も、本当の意味で人生を豊かにしてはくれません。執着すると悩み苦しみが増えていくだけです。
何かに執着する気持ちがわいたときは、自動的に
私に、一切の現象に対する愛着がなくなりますように
と唱えると良いでしょう。
仏教において、何かに対する執着=欲は、「貪」という言葉で表現されます。
人生を苦しめる三毒(貪瞋痴)のうちの1つなので、こころが平安になるように、徐々に取り除いていきましょう。
④私のこころは大地のように
私のこころは大地のように
このフレーズは
・SNSなどで誹謗中傷を受けたとき
・仕事で理不尽なクレームを受けたとき
などなど、他の生命から恨みや憎しみを向けられ、傷ついたときに唱えたいフレーズです。
時間を確保して慈悲の瞑想を実践する場合は、
大地はいかなる清らかなものを捨てても、いかなる不浄なものを捨てても、喜ぶことも嫌がることもありません。私も、他の生命の賞賛・非難などを受ける時は、大地のようなこころを保ちます。
引用:アルボムッレ・スマナサーラ著「慈悲の瞑想〔フルバージョン〕-人生を開花させる慈しみ」
と唱えますが、日常生活で唱えるには長いので、
私のこころは大地のように
と短く唱えます。
大地は生命がどんなに酷い仕打ちをしても、平然と生命の生活を支えてくれます。
人間がゴミを捨てても、核実験で爆弾を爆発させても。地雷を埋めても、戦争をしても、生命の生活を支えてくれていますね。
私たちも他者の言動で傷つくことはありますが、そんなときでもこころの平安を保ち、他の生命に対して慈悲のこころを向けましょう。
恨みに恨みで応じても、恨みを消すことはできません。恨みは慈しみでしか消せないのです。
⑤私は私より豊かな人を見るたびに、過去に善行為をした人であると思い、喜びを感じます
私は私より豊かな人を見るたびに、過去に善行為をした人であると思い、喜びを感じます
このフレーズは
・SNSで他者のきらきらした人生に嫉妬したとき
・成功している他者に嫉妬したとき
・カップルを見て羨ましく思ったとき
などなど、自分以外の誰かに嫉妬したときに唱えたいフレーズです。
すべての生命は、自分の業を相続し、業に管理されて生きています。
今を生きるのが苦しいのは、長い長い輪廻の中で、罪を犯して生きたからです。
今を豊かに生きられるのは、長い長い輪廻の中で、たくさんの善行為をしたからです。
自分より豊かな人を見かけたときは、過去に善行為をした人であると思い、喜びを感じるようにしましょう。
慈悲の瞑想のフレーズを、時間を確保して唱える
今回は慈悲の瞑想のフルバージョンの中から、日常生活で唱えられるフレーズをご紹介しました。
余裕のある方は、ぜひ3〜10分程度の時間を確保して、慈悲の瞑想を実践してみてください。
フルバージョンの中から、お気に入りのセクションを選んで実践するのもありですし、フルバージョンを省略した携帯バージョンを実践するのもありです。
粘り強く継続すれば、以下のような様々な効果を実感できるはずです。
・思いやりの行動が増える
・人付き合いがよくなる
・怒り、嫉妬、憎しみの感情が小さくなる
・愛や喜び、感謝、満足感、希望、誇り、興味、楽しみ、畏敬の念などのポジティブな感情が増大する
・幸福度が上がる
・細胞の老化を防ぎ、アンチエイジングができる
・うつの症状が軽減される
・身体的にも健康になる
人生の問題をすべて解決する、万能の瞑想法と言えるのではないでしょうか。慈悲の瞑想は、様々な瞑想法の中で最も効果が高いとも言われています。
ぜひ慈悲の瞑想を実践して、愛や喜びに満ちた幸せな人生を送ってください。

参考までに、慈悲の瞑想の携帯バージョンを引用します。
私は幸せでありますように
私の悩み苦しみがなくなりますように
私の願いごとが叶えられますように
私に悟りの光が現れますように
私は幸せでありますように(三回繰り返し)
私の親しい生命が幸せでありますように
私の親しい生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の親しい生命の願いごとが叶えられますように
私の親しい生命に悟りの光が現れますように
私の親しい生命が幸せでありますように(三回繰り返し)
生きとし生けるものが幸せでありますように
生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように
生きとし生けるものに悟りの光が現れますように
生きとし生けるものが幸せでありますように(三回繰り返し)
私の嫌いな生命が幸せでありますように
私の嫌いな生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の嫌いな生命の願いごとが叶えられますように
私の嫌いな生命に悟りの光が現れますように
私を嫌っている生命が幸せでありますように
私を嫌っている生命の悩み苦しみがなくなりますように
私を嫌っている生命の願いごとが叶えられますように
私を嫌っている生命に悟りの光が現れますように
生きとし生けるものが幸せでありますように(三回繰り返し)
引用:アルボムッレ・スマナサーラ著『慈悲の瞑想〔フルバージョン〕-人生を開花させる慈しみ-』