慈悲の瞑想の効果の1つ
脳の「島」が成長し、共感する力が上がる
について、体験談を交えてご紹介します。
Contents
【体験談】慈悲の瞑想を実践して、共感する力が上がったお話
慈悲の瞑想を実践するようになってから、他者に共感する力が少しずつ上がっているように感じます。
ここでいう「共感する」とは、「相手と同じ経験をしていなくとも、痛みを想像して憐れむ気持ち」「痛みを理解したいと思う気持ち」「救われてほしいと思う気持ち」「相手の感情に寄り添いたい気持ち」「助けたい気持ち」が入り混じったような感情を感じることです。
以前より共感できるようになったなと感じる場面は多々ありますが、特に多いのは、SNSで誰かのしんどそうな投稿を見かけたときです。
と思いつつも、
という感じで、何もできないもどかしさを感じます。
こういうときは大抵、「せめて寄り添いたい気持ちがあること、痛みを理解したい気持ちがあることだけはわかってほしい」という思いを込めて、いいねやスキをするのですが、非言語コミュニケーションに逃げてしまう自分は、まだまだ未熟だなと感じます。
最近は憐れみを感じても何もできないもどかしさが募りに募って、
という思いも強くなってきました。
【慈悲の瞑想の効果】共感する力が上がるのは、脳の島が成長するから
慈悲の瞑想が共感する力を向上させることは、すでに研究で証明されています。
調査者は1つのグループを対象に、2週間にわたって毎日30分の慈愛の瞑想を指導した。実験の統制群として、彼らは別のグループを対象に人生の困難な状況に関してより積極的に考えるように指導した。
引用:クリスティーン・ネフ著『セルフ・コンパッション』
実験参加者には眼腫瘍を患った子どもなどの苦しんでいる人の映像を見せて脳のスキャンを行った。考え方を変えるように指導されたグループに比べ、瞑想を行ったグループの方が明らかにより多くの共感性を感じる結果となった(これは脳の島部の活性によって実証された)。
引用:クリスティーン・ネフ著『セルフ・コンパッション』
脳イメージング(fMRI)を用いた科学的な研究によって、「島」が瞑想によって活性化することが明らかになっています。脳の「島」の部分は共感することに関係しているため、それがないと他の人との絆を感じることができません。
引用:マーク・ウィリアムズ、ダニー・ペンマン著『自分でできるマインドフルネス』
慈悲の瞑想は、脳の左側に位置していて、共感に関係する島(とう)を、一時的に活性化させるだけでなく、成長させて大きくするため、人々の共感する力を上げるようです。
【慈悲の瞑想の効果】共感する力が大切な3つの理由
ではなぜ慈悲の瞑想で島を成長させ、共感する力を上げることが大切なのでしょうか?
そのヒントが以下の引用にあります。
共感は社会にとって役立つだけでなく、共感する人自身にとっても役立つものだからです。自分自身や他者に対して共感し、純粋な思いやりと親愛の情を抱くと、自分自身がより健康的になり、満ち足りた感覚がとても高まります。
引用:マーク・ウィリアムズ、ダニー・ペンマン著『自分でできるマインドフルネス』
上記を読んで、共感する力には、3つの面があるのではないかと思いました。
①共感される側にとって役立つ
②共感する側にとって役立つ
③世界にとって役立つ
順にご紹介します。
①共感される側にとって役立つ
まず共感する力は、共感される側にとって役立ちます。
自分が抱えている悩みや苦しみ、困難に対して、誰かが共感するからこそ、人助けが生まれ、問題を解決できるからです。
また自分のネガティブな感情に、誰かが共感してくれれば
と感じられ、気持ちが少し軽くなるでしょう。
ですのでもし誰かの力を借りたいと思ったら、ほんのちょっと勇気を出して、自分の悩みや苦しみを打ち明け、他者が共感できる状態を作ることが大切なのかもしれません。
②共感する側にとって役立つ
次に共感する力は、共感する側にとっても役立ちます。
皆さんの中にも、街中で見ず知らずの他人にちょっとした親切をしただけで、自分が満ち足りた感覚になった経験のある方がいらっしゃるのではないでしょうか?
接客のお仕事をされている方だったら、お客様にちょっとした親切をして、満ち足りた感覚を味わっているかもしれません。
僕自身は、子どもの孤立を未然に防ぐ活動を行なっている認定NPO法人PIECESに、月額で寄付をしているのですが、仕事で子どもと触れ合ったり、街中で子どもを見かけるたびに
と満ち足りた感覚になります。
こうして感じるポジティブな感情は、心身に好影響を与え、生きづらかった人生をより豊かで、エネルギーに満ちた、幸せな人生に変えてくれている感覚があります。
③世界にとって役立つ
最後に、共感する力は世界にとっても役立ちます。
どんな人にも必ず強い部分と弱い部分があって、弱い部分に誰かが共感するからこそ、人と人の温かなつながりが生まれます。
人と人の温かなつながりは、ひとりでは生み出すことができない大きなエネルギーや愛、優しさを生み出し、それらが世界を循環します。
エネルギーや愛、優しさが循環した世界は、すべての人にとって生きやすい方向に変化します。
世界を循環したエネルギーや愛、優しさは、巡り巡って共感した側、共感された側の元に戻り、両者のエネルギーや愛、優しさをさらに増大させます。
増大したエネルギーや愛、優しさは、再び世界を循環します…
人と人が憎み合い、エネルギーや愛、優しさを奪い合うような関係がなくなれば、それ、はどこまでもどこまでも拡大し、笑顔溢れる世界を作るのではないかと思います。
慈悲の瞑想を実践して、共感する力を上げる
もしこの記事を読んで興味が沸いたら、ぜひ慈悲の瞑想を実践してみてください。
やり方はとても簡単です。
あぐらなどの楽な姿勢で座り、背筋を伸ばして、以下のフレーズを頭の中で繰り返し唱えるだけです。
私は幸せでありますように
私の悩み苦しみがなくなりますように
私の願いごとが叶えられますように
私に悟りの光が現れますように
私は幸せでありますように(三回繰り返し)
私の親しい生命が幸せでありますように
私の親しい生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の親しい生命の願いごとが叶えられますように
私の親しい生命に悟りの光が現れますように
私の親しい生命が幸せでありますように(三回繰り返し)
生きとし生けるものが幸せでありますように
生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように
生きとし生けるものに悟りの光が現れますように
生きとし生けるものが幸せでありますように(三回繰り返し)
私の嫌いな生命が幸せでありますように
私の嫌いな生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の嫌いな生命の願いごとが叶えられますように
私の嫌いな生命に悟りの光が現れますように
私を嫌っている生命が幸せでありますように
私を嫌っている生命の悩み苦しみがなくなりますように
私を嫌っている生命の願いごとが叶えられますように
私を嫌っている生命に悟りの光が現れますように
生きとし生けるものが幸せでありますように(三回繰り返し)
引用:アルボムッレ・スマナサーラ著『慈悲の瞑想〔フルバージョン〕-人生を開花させる慈しみ-』
「長いな」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私、私の親しい生命、生きとし生けるもの、私の嫌いな生命、私を嫌っている生命に対して、順番に同じフレーズを唱えているだけなので、覚えるのにそう多くの時間はかからないはずです。
最初は3分程度の短い時間で構いません。
ぜひ実践して、生きとし生けるものに慈悲の心を育てる喜びを実感してみてください。